2013年6月12日水曜日

身体全体の緊張を解くには

月に2〜3度くらい、時間を作って岩盤浴かサウナに行きます。
私にとっては、魂を浄化するスウェットロッジ的な意味合いが大きいので、そこにTVなんて設置されていなくて全然いいのに、といつも思うのですが、 そこで天皇皇后両陛下の映像を目にしました。
美智子妃殿下が、頚椎症性神経根症という症状でしばらくご静養が必要だとか。
お二人ともいつも頭を低く、首を前に伸ばしている御姿勢でいらっしゃいます。
ヨガインストラクター的にいろいろなことを考えてしまいました。

最近クラスでは脊椎のS字カーブについて、頭の位置や骨盤の位置を自分本来のところに据える、ということをお伝えしています。

アサナ中よく注意するのは、「頭から先に行かない」という事です。
前屈、後屈、頭を上下に動かす動きは、身体が追いついていかない場合程多く、
様々な場面で見られます。
面白い事に、捻りの場合(頭を水平に動かす)は動きがあまりみられません。
皆さん身体だけ捻って、首は殆ど動かさず、まるでそのような動かし方を忘れてしまったかのようです。筋肉も硬くなってしまっているんですね。

「首の筋肉の習慣的緊張は、必然的に身体全体の緊張を引き起こすことが予測される。
体全体の緊張を解くには、首の筋肉を解放する事からはじめなければならない。
理由1、首の緊張は、骨格全体における骨と骨の関係をゆがめ、骨格全体の能力が損なわ     れ、体重をうまく配分する事ができなくなる。
理由2、首の緊張は 、随意運動をサポートする不随意筋に干渉する。
   (随意筋=自分の意志で動かす筋肉、不随意筋=自分の意志では動かせない筋肉、     心臓や、血管壁、内臓壁の筋肉等)

動いているとき身体が自由であれば、頭が先に動いて身体がそれについてくる。
特に注意すべきことは、頭が先に動いて身体が後からついてくる、という順序である。」
(ソマティック心理学 / 久保隆司著)

何かを見たり聞いたり、脳はいつも刺激を受け、感覚受信器官である、目、鼻、口、耳(私は頭頂部もそうだと思っていますけど。だから帽子を被ると感覚が通常の3分の1くらい鈍くなったような気持ちになります。)は対象に向かって前のめりの事が多いですよね。

母が脳出血で倒れ、退院したとき、背中が丸くしょぼんと自信のないような佇まいで、耳が聞こえづらくなってしまったので、人と話す時はいつもよく聞き取ろうと首を前に突き出していました。
そのせいでしょう、筋力の衰えた肩や腰が痛いと言っていたので、介護認定を受けて、リハビリ施設へ週一度ですが通ってもらう事にしました。
長年ヨガをやっていたことと、介護士さん達が優秀なのでしょう。
最近めきめきと背筋がしゃんとし、下を見ていたところから前をしっかりみられるようになって、それに伴い表情も明るく、日常の動作も自信を持って行えている様子です。
一人で電車に乗って出掛けたりも出来るようになりました。
脳の機能も殆ど戻っていると思います。

母が主に行っているのは、脚力と背筋を鍛えること、のようです。
姿勢ってこんなにも人を変えてしまうものなのだと改めて思いました。

クラスでアサナを実践しながら専門的な事をお伝えするのは時間的に限度があるのですが、Pranic Yogaの基本、「呼吸を背中に」前のめりの意識を後ろに戻す事は とても有効だと思っています。
サイドアングル(パールシュヴァコーナアサナ)の写真を載せたかったのですが、ちゃんとしたものがなかったので、パリヴリッタウパヴィシュタコーナアサナで。
友人が撮ってくれたこの写真、とても気に入っています。
この時の私は木の上でバランスをとるのに、とても頭の位置を気にしていました。
ほんの少しで視界も全体のバランスも、肩や胸の緊張も、ヨガをしている時にはその生理機能や自律神経の働き方も大きく変えてしまいます。

自分が緊張しているな、と思ったら、頭をほんの少し後ろへ引いてみて下さい。
変わろうとしているとき、本来の自分を取り戻したいとき、慣れ親しんだ姿勢へ戻ってしまいそうになったら、頭を少し後ろへ。
ちょうどいい位置は、徐々に見つけていきましょう。
身体は最初から既に知っているのですから。
日常の中で意識しておかないと、誰しもやがて歳を取り、いつの間にか本来の自分らしい姿勢に戻れなくなってしまうのです。






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