2012年6月16日土曜日

Padmasana 蓮華座

最初のヨガのアサナです。
瞑想をするための姿勢です。
長時間エネルギーが滞らないよう背骨を伸ばして坐り、たとえ意識が飛んでしまっても体が倒れて怪我をしたり、眠りに落ちてしまって意識が怠惰になってしまわないよう、下半身を安定させ、上半身は姿勢を保ちながら楽に深い呼吸が出来るような、パドマアサナに焦点を絞ってやればやるほどこの姿勢の完璧さに唸る思いです。

アサナは、「安定」という意味を持つように、安定するために行うものです。
大抵日常の中で多かれ少なかれ、上半身に余分な力を加え過ぎて、支えとなってくれる下半身には力が充実しきれていないというのが殆どのように感じます。
意識していないとき、私達は先に脚から力を抜いて、上半身(肩や首、腰)などは緊張が残っていることが殆どだと思います。
上半身は様々なクリエイティブな活動を行うと同時に、内臓などの生命維持器官が休み無く働き、私達にはすべて把握しきれない精妙さで毎日の私達の活動の中心となってくれています。呼吸も含めて、それぞれの器官が自由に最大限に働けるよう、スペースを作って楽にしておくべきだと思っています。
反対に脚は、基本的に筋肉と骨です。
とてもタフで、体重を支えたり、私達の体そのものを運んだり安定させるための土台となってくれている場所です。

脚を深く組んで坐ると、嫌でも背筋が伸びずにいられません。
瞑想するとき、背骨からダイレクトに繋がっている脳の一番深い部分にコネクトし、自分を中から観て変えて行ったり、深いところからの記憶や感情を呼び覚ましたり、構築し直したりということを行うと思います。
その時に姿勢が保てないといつもの思考回路から抜け出す事がなかなかできません。
いつも絶え間なく働いている、脳の一番表面の 大脳新皮質(ここが一番酸素を消費します)の活動を休ませ、徐々に呼吸さえも必要なくなるギリギリ手前のところまで、肉体的な活動を落として行きます。

パドマアサナは実は脚にとても強い力をキープしたまま行うものです。
股関節、膝、足首がそれぞれ柔軟な事はもちろんなのですが、股関節を外旋させて脚を組んだら、さらに内転筋(内股)を締めるようにしてさらに深く組みます。
この外に開く力と内に締める力の均衡で骨盤や背骨を立てることが出来ます。
脚は、腕と違って、捻って使う事が出来ないので、深く組んで初めて股関節と膝、膝と足首の方向が同じになります。
最初の頃の、足をちょこんと組んだパドマアサナ、ちょっと頑張って坐っても、すぐに痛くてたまらなくなったりしませんでしたか?
内股を使って深く組んだら、足の甲や脛を使って、下にぐっと押すようにします。
背骨を伸ばそうとするとき、必ず下に向かう力を発生させないと、上に向かう力も発生しないからです。
下半身を上手く使えないと、今度は腰に力を入れて同じ事をしなければいけません。
足で床をプッシュして立位のアサナをキープするとか、内転筋を使ってバンダを入れるとか、ハタヨガの様々なアサナは、結局パドマアサナを行う為の練習や準備運動そのものです。
大人になってから、ヨガを始めた場合、パドマアサナを組むまでに相当時間や練習が必要になってくることも多いと思います。
どうしても出来ない場合もあるかもしれません。
いずれにせよ、シッダアサナなどで坐る場合にも、内転筋や足で押す力を時々思い出しながら、脚だけ組んで背中は丸いということが無いようにしたいですね。
呼吸を背骨に通すように行うと、自分の身体の深いところからの感覚が得られます。
私はそれを頼りに徐々に瞑想に入って行きます。
坐った時になかなか意識を集中出来ない時には試してみて下さい。

泥の池の中から、茎をまっすぐに伸ばして一生懸命咲こうとする蓮の花に例えるなんて本当に抜群のネーミングセンス。
(私は、伝統的なヨガのアサナに秘かに自己流の名前をつけたりすることが好きです)
パドマアサナは、女性特有の様々な体の悩みにも高い効果があるところも素晴らしいなと思います。自分の練習が足りなかったり、弱い部分もすぐに明確になるので、時間がなくても必ず坐る時間は欠かしません。
本当は電車のシートでもこの坐り方で居たいけれど(ちなみに飛行機の機内や車のバックシートでは大体これ)、そう思いながら脚を組んでいたりします。
街中で瞑想している人が普通に受けとめられるような日が来ないかと、秘かに期待しています。OM

0 件のコメント:

コメントを投稿